川崎洋

向きあうもの として は 海 これまで 信じなかったもの と 不意に回路がつながる ことが あるやも知れぬ 海 海と 思いつづけることが ぼくにとっての 海 だ 両頬に戸をたてられて 海だけを見ている馬 だが 夢に 海が流れ入る ことは ない たぶん 水面の高さが同じだからだろう 死ぬまぎわ 思い浮かべるものは 非常に 海に近いものに違いない